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【マラソン】初フルマラソン6時間40分から「ほぼほぼサブ4」で走れるようになった男性ランナーの話をしたい。

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初フルマラソンでどえらい目に遭う 2012年11月。第2回神戸マラソン。 足をひきずりながら一人の男性が歩いていた。 「おいおい、自分はまだこんなところを歩いているのか。そして、今からあんなところまで歩きつづけないと終われないのか!」 社会人になるまで神戸の隣の市に住んでいた。 このマラソンで走るコースは、地元と呼んでもいいくらいによく知っている町並みだ。 だからこそ、42.195kmという距離の遠さを実感していた。 甘かった、と思う。 神戸マラソンに申し込んだのは、ちょっとしたお祭り気分に乗ったのだ。 まさか当選するとは思わなかった。 レースの当日まで練習は何もしなかった。 ホントに、一切、走らなかった。 まぁ、なんとかなるだろう、と思っていた。 なんともならなかった。 やめたいと思ったけど、沿道の人たちの応援と視線がやめさせてくれなかった。 甘かった、と何度も思う。 すでにカラダの色んなところが悲鳴をあげている。 何度も立ち止まり、屈伸し、また歩きはじめる。 ゴールは遠い。まだまだ、はるかに、遠い。 ***** 本日のお客様は、 愛知県 からお越しの「ほぼほぼサブ4」ランナーY1Rさんです。 ――Y1Rさん、こんにちは。 Y1Rさん: 「こんにちは」 ――Y1Rさんがランニングをはじめられたのは5年前の神戸マラソンからだそうですが。 Y1Rさん: 「はい、 どえらい目に遭いました 」 ――初めてのフルマラソンとなったその神戸マラソンを、一切練習せずに出場されたそうですが、さすがに完走は無理だったでしょう? Y1Rさん: 「それが完走したんです。まぁ、ほぼ 完歩 ですけども」 ――ほ、本当ですか!?42.195kmを歩きつづけたんですか!ちなみにタイムは? Y1Rさん: 「 6時間40分 かかりました」 ――うわっ、逆にすごい!よくぞゴールにたどりつきましたね。 Y1Rさん: 「まぁ、がんばったと思います。 自分で自分をほめてやりたいです 」 ――メダリストのようなお言葉です。走り終わった後、いや、ちがいますね、歩き終わった後、どんなお気持ちでしたか?こんなツラい思いをして、フルマラソンなんてもう二度とごめんだ!って思われたんじゃーないでし

【マラソン】初めてフルマラソン42.195kmを完走したある女性ランナーの話をしよう。

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ひまわり畑がその人を待っていた。 5時間走りつづけた。 42.195kmは遠かった。 でも、その人の足取りは、決して重くはなかった。 ***** はじめて10km走って桃を6個もらう その人が走りはじめたきっかけの話。 3年前、健康のために歩くことにした。 でも、歩いているだけでは飽きてきた。 しばらくして走ってみることにした。 はじめは30分も走れなかった。 つづけたらだんだん走れるようになった。 それはちょっとした驚きだった。 「というのも、私にはこれまでスポーツの経験がほとんどありませんでしたから。高校は美術部、しかも、入部した次の日から行かなくなったくらいに(笑)、何かをつづけることも苦手だったのです。」 30分間のランニングを週4日つづけて1年。 せっかくだから、何か「マラソン大会」と名のつくものに出てみようかと思う。 「 走ってよかった、楽しかった って、イイ思いをしないと自分はもう走らなくなると思ったので、 評判のいい大会を探しました。 」 2015年8月。 初めてのマラソン大会は10km。 東北の街を1時間と43秒で完走。 「その大会は参加者賞に桃がもらえました。遠く県外から来た参加者は、さらに多くの桃がもらえました。私は6個もらいました。うれしかったです。帰りの荷物が大変だったろうって?いいえ、宅急便で自宅に送りました(笑)。」 ***** 3種類のランニングシューズで完走を目指す 10kmの完走は大きな自信となった。 あるランニングのクリニックに参加した。 周囲の参加者の声に驚いた。 「今年は○○のフルマラソンに出場する」 「次のフルマラソンは○時間○分で走る」 みんなフルマラソンを走る話ばかりしていた。 「そんなところに来る人たちなのですから、今から思えば当然なのですが。でも、その頃の私はフルマラソンを走るなんて、これっぽっちも思ってませんでした。」 しかし、心のどこかに「フルマラソン」の言葉が残った。 2015年12月。 初めてのハーフマラソンに挑戦。 2時間08分で完走。 しかし、左脚の腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)を痛めた。 それから4か月間は走れなくなった。 年が明けて2016年。 3月、ふたたびランニング

【投てき】祝全国インターハイ出場!高校3年男子のハンマー投げスローイングシューズを5足フィッティングした話。

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気は優しくて力持ち、京都の陸上競技強豪高校でがんばってるOMくんが、 男子ハンマー投げ で 全国インターハイ進出 を決めてくれました! いよっつ! ――OMくん、おめでとうございます! OMくん: 「ありがとうございます。」 ――高校3年生、最後のシーズンで念願の全国インターハイにたどり着きましたね。よかったですね! OMくん: 「うれしいっす。」 ――OMくんが初めてオリンピアサンワーズに来てくれたのは、ちょうど1年前(2016)の7月でした。当時のハンマー投げの記録は何mでしたっけ? OMくん: 「 52m66cm っす。」 ――で、現在の自己ベスト記録は? OMくん: 「6月の近畿インターハイで出した 59m46cm っす。」 ――おお、1年間で記録を大幅に更新しましたね!その自己ベスト記録で見事6位に入賞し近畿大会を突破、全国インターハイ進出を決めたのですね。 OMくん: 「そうっす。」 ――試合の途中で「あの選手は何m投げるのだろう」とか「今自分は何位なのだろう」とか気になるものですか? OMくん: 「全然気にしないっす。 自分の投てきをするだけっす 。」 ――集中してるんですね。 OMくん: 「気にしても、心乱すだけっすから。」 ――かっくいー! つーわけで、 祝・全国インターハイ出場! なOMくんにガンガン投げてもらうスローイングシューズに今日のアムフィット! 1年前 、 9か月前 、 4か月前 、そして今回のフィッティングの模様を一挙に公開! 装着したオーダーメイドインソールは、すべて 最上級インソール の ゼロ・アムフィット です。 ・2016年7月  OMくんはじめてのご来店。スローイングシューズとトレーニングシューズをフィッティング! この日、インソール作成の待ち時間を、OMくんは店内でトレーニング用品を使って柔軟体操やストレッチなんかをやっていた。身長180cm、筋肉隆々の大きなカラダで、彼は開脚しながらぺたーんと胸を床につけてみせた。その姿を見た川見店主が一言。 川見店主: 「おおすごいね!それだけのカラダとそれだけの柔軟性をもっているんだから、もっと記録は伸ばせるはず。全国インターハイにも行けるはずよ。」 OMくん: 「マジっすか

【三段跳】彼女はこの夏を忘れない。~熊本の少女が全国インターハイに出場するまでの8年間の話。(その3)

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( その2「8年ぶりにやってきた彼女は3足のシューズをフィッティングした」 のつづきです) 彼女には3つの夢があった。 三段跳びで12mのジャンプがしたい。 全国インターハイに出場したい。 そして、女子キャプテンとして、チームも全国大会の舞台へ連れていきたい。 彼女はもう時間を無駄にはできなかった。 川見店主に教えてもらったとおり、立ち方歩き方の姿勢を常に意識した。 カラダの柔軟性を高めるトレーニングを、日々欠かさずに行いつづけた。 2週間後。全国インターハイ熊本県予選大会。 2週間後。 2017年6月2~5日。 熊本県えがお健康スタジアム。 全国インターハイ熊本県予選大会。 彼女が出場した種目と残した結果。 ・走幅跳び決勝 5m41cm 第4位 ・三段跳び決勝 11m70cm 第1位 ・4×400mリレー決勝 第2位 彼女はこの3種目で南九州地区予選大会への進出を決めた。 驚きは走り幅跳びの記録だった。 彼女は年が明けてから走り幅跳びの練習をほとんど行っていなかった。 この県大会の試合は「出れるから出てみた」だけだった。 スパイクシューズも「走り幅跳び用」ではなく、2週間前にフィッティングしたばかりの「三段跳び用」でのぞんだ。 それなのに、高2までの自己ベスト5m29cmから12cmも記録を更新したのだ。 彼女は変化を感じはじめていた。 走ればスムーズに加速に乗っていける。 助走のトップスピードがあがっている。 ジャンプの勢いが明らかに増している。 跳躍した上半身がバネのようにしなる。 そして、接地する最後の瞬間、空中で何かに背中を押されたように「グン」とカラダが前方へ運ばれ、飛距離が伸びる――そんな感覚を知りはじめていた。 30日後。全国インターハイ南九州地区予選大会。 【女子走り幅跳び決勝】 30日後。 2017年6月15日。 熊本県えがお健康スタジアム。 全国インターハイ南九州地区予選大会、初日。 女子走り幅跳び決勝は22名の選手で競われた。 勝負は2段階で進む。 まずは各選手が3回試技を行い、上位記録の8名だけが生き残り14名が脱落する。 上位8名はひきつづき3回試技を行い、計6回の試技の中での最高記録で順位を決定する。 そのうち全国インターハイへ

【三段跳】8年ぶりにやってきた彼女は3足のシューズをフィッティングした。~熊本の少女が全国インターハイに出場するまでの8年間の話。(その2)

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熊本県にある滝 ( その1「高校2年生の彼女は三段跳びをはじめた」 のつづきです) 2017年5月。 彼女は8年ぶりにオリンピアサンワーズにやってきた。 小学4年生だった小さな女の子は、精悍に日焼けしたアスリートとなって目の前に現れた。 お父さん: 「本当はもっと早く連れてきたかったんです。娘からはずっと『鶴橋のお店に連れて行ってくれ』と頼まれてました。けれど、なかなか機会がつくれなくて、かわいそうなことをしました。」 川見店主: 「熊本の方々は大きな震災も乗り越えなければなりませんでしたもの。私たちには想像できない、たくさんのご苦労があったことだと思います。」 お父さん: 「いろんなことがありました。そして、やっとここに来れました。」 この8年間、お父さんはずっと彼女の競技生活を応援しつづけてきた。 できるかぎり彼女が出場する試合にかけつけ、その姿を動画におさめた。 川見店主はそれらの動画を見せてもらった。 彼女の走る姿や跳躍のフォームは、想像していたとおりだった。 川見店主: 「上半身をもっとやわらかく、そしてカラダ全体をもっと大きく、のびのびと使えるようになれば、彼女はもっと記録を出せます。」 お父さん: 「本当ですか。」 川見店主: 「今でもこれだけ跳べるんですから、彼女の秘めた力はこんなものじゃないですよ。」 次に、川見店主は彼女の足に向き合った。 がんばりつづけて無理を重ねた足だった。 足の痛みの原因がどこにあるかを探った。 彼女の足を守るためのシューズを選んだ。 彼女が最高の力を発揮するためのインソールを作った。 初日、トレーニング用アップシューズ、短距離スパイクシューズの2足をフィッティング。装着したオーダーメイド・インソールは、いずれも最上級インソールのゼロ・アムフィット。 川見店主はシューズのフィッティングを行いながら、幾度となく彼女に質問を投げかけた。返ってくる言葉の中に彼女の感覚をさぐった。頭の中で彼女の気持ちで走り、跳躍し、湧き上がるイメージをとらえながらインソールの調整を繰り返した。 できあがったシューズを履いて、彼女は軽くステップを踏んでみた。 シューズは足に心地よくフィットした。 足の痛みは不思議と感じなかった。 川見店主は時間

【三段跳】高校2年生の彼女は三段跳びをはじめた。~熊本の少女が全国インターハイに出場するまでの8年間の話。(その1)

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2009年夏。小学4年生の彼女は熊本空港から飛び立った。 その日、九州の空は晴れ渡っていたはずだ。 彼女を乗せた飛行機が熊本空港から飛び立った。 8年前の夏休み。 大阪への日帰りの旅。 彼女は小学4年生だった。 隣には大好きなお父さんとお姉ちゃんが座っている。 だから楽しいはずだった。 でも、旅の目的が彼女にはちょっと不思議だった。 「どうしてシューズを買うためだけに、飛行機に乗ってわざわざ大阪まで行くんだろう?」 空から降りた大阪は暑かった。 空港から電車を乗り継ぎ、ようやくたどり着いた駅。 その「鶴橋(つるはし)」という駅名が、彼女にはなぜか強く印象に残った。 しばらく歩くと店についた。 そこは店でないような店だった。 お父さんにうながされて中に入った。 彼女は少し緊張したけど、お姉ちゃんといるから大丈夫だった。 *** 8年前に熊本県からやって来た、その姉妹の足型測定用紙が今も店に残っている。そこにはこんな風に記されている。 <2009年8月○日> ・姉エリサ 中1 陸上100m14秒2  サイズ 左24.0cm、右24.2cm ・妹エリナ 小4 サッカー  サイズ 左21.7cm、右21.6cm 当時の記憶をたどる。 たしかその日、お父さんはお仕事の関係で、姉妹を店に残してしばらく外出された。ふたりはお行儀よく店で時間を過ごしていた。 陸上競技をはじめた姉エリサちゃんにはランニングシューズと短距離用スパイクシューズをフィッティングした。 妹エリナちゃんのサッカースパイクシューズは取り寄せなければならなかった。だから、彼女だけは1週間後にもふたたび熊本県からお父さんと一緒に来店してフィッティングを行った。 *** この2回の大阪への旅で、彼女には「鶴橋」という駅名の他にも印象に残ったことが2つあった。 1つ。その店で足型を測定してもらった時に、足の裏がとてもくすぐったかったこと。 2つ。その店のおばちゃんに色々教えてもらったこと。特に、お姉ちゃんは、正しい姿勢での立ち方・歩き方、短距離の走り方や練習方法を熱心に教えてもらっていた。それを見ていた彼女はこう思った。 「自分も大きくなったら陸上競技をやろう。そして、またお父さんに、このお店に連れてきてもらおう。」

【短距離】100mで9秒台を狙うとおにぎりが売れる説。~第101回日本陸上選手権大会、男子100m決勝を見た話。

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おにぎりが消えた日。 2017年6月24日土曜日。 ヤンマースタジアム長居。 第101回日本陸上競技選手権大会、2日目。 この日の夜に行われる男子100m決勝は、世間の注目を大きく集めていた。 出場する8名の選手のうち5名が、10秒0台の自己ベスト記録を持っている。 このレースで、今夏に開催されるロンドン世界陸上選手権の男子100m代表3名が選出される。 激戦は必至だった。 そして、なによりも、日本人初の「9秒台」が期待されていた。 午後6時。 JR阪和線の長居駅を降りる。 多くの人たちがスタジアムに向かって歩いていた。 仕事帰りで少々お腹が減っている。 何か食料を買っていくことにする。 途中にある惣菜屋さんに入った。 大きなおにぎりが3つ並んでいるのが目に入る。 今夜、一緒に試合を観戦するのは、川見店主とOさんと自分の3人。 よかった、みんなの分も買っていける。 その「最後の」3つのおにぎりをトレーに乗せた。 ちょっとしたおかずをと焼き鳥を選んでいると、新しいお客さんが入ってきた。 その若い女性が思わず大きな声を出した。 「あ、おにぎり全然ない!」 店のおばちゃんが申し訳なさそうに言った。 「ごめんなさい。売切れちゃって。でも、待ってくれたらもうすぐできますよ。」 「そうなんだ。じゃあ待たせてもらうね。」 買い占めた3つのおにぎりを見つめて、少々バツが悪い感じがした。が、まぁ仕方がない。 レジで会計をしながら聞いてみる。 「おにぎり、もうすぐできるの?」 「はい、すぐできますよ。」 「あと3つほしいんですけど。」 「ちょっと待ってね。」 おばちゃんはせかせかと奥の厨房に入っていった。 そして、3つのおにぎりを手にレジに戻って来て、言った。 「今日、陸上競技やってるでしょう。たくさん人が来てね、調理が追いつかないのよ。」 ***** 今夜、何かが起こる。 スタジアム周辺には人があふれていた。 当日券の販売窓口には長蛇の列。 スポーツメーカーのブースも立ち並び、雰囲気を盛り上げている。 今夜、何かが起こる。 そんな期待が、そこにいるすべての人たちから伝わってくる。 競技場のスタンドに入る。 客席はほとんど埋まり熱気に満ちていた。 トラックで