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【中距離走】800mを1分51秒61で走る高校2年生ランナーが、全国インターハイ進出を決めた秘密のインソールとは?

彼こそが、りゅうきくんだ。 彼の姿を見たければ、陸上競技場に足を運べばよい。 そして、男子800mのレースを見ればいい。 400mトラックを2周するこの苛酷な競技で、ひとり、無謀に見えるほどに、スタートからぶっとばす選手がいることだろう。 それが、彼だ。 予選だろうが、決勝だろうが関係ない。 200mも走らぬうちに先頭に躍り出て、他の選手たちを引き離しにかかる。 果敢にレースを引っ張る、というよりも、自分以外には誰も走っていないかのように独走する。 後続の選手たちは、必死に彼の背中を追いながら、こんな風に思っているはずだ。 「こんなに速いペースにはついていけない!」 「だからアイツとは一緒に走りたくないんだ!」 彼は誰よりも速くフィニッシュラインを越える。 その度に新しい記録が生み出されていく。 彼のペースに疲労困憊させられた他の選手たちは、彼に遅れてやっとこさフィニッシュするも、そのままトラックにバタリと倒れ込み、しばらく立ち上がることができない。 レース後の彼の背後には、いつも、そんな死屍累々の光景が広がっている。 が、彼は気づかない。 彼は後ろを振り返らず、すでに軽い足取りでスタスタと歩きながら、スタンドで応援するチームメイトたちに向かって、涼しい顔で手を振っている。 彼こそが、りゅうきくんだ。 ◆ 京都インターハイで大会新記録 このブログで一番読まれている記事は、昨年(2017)9月に書いた、高校生の中距離ランナー・りゅうきくんの話です。現在(2018/06/29)で3,200回以上読まれてます。 閲覧回数もぶっちぎり!りゅうきくん記事↓ で、今春に高校2年生になったりゅうきくん。 まずは、6月1~3日に行われた京都インターハイの男子800mで大爆走!近畿インターハイへ余裕の進出! 記録はこんなの↓ ・予選 :1分55秒09 組1位 ・準決勝:1分54秒05 組1位 ・決勝 : 1分51秒61  2位 決勝のタイム1分51秒61は 自己ベスト 、かつ 大会新記録 でした! いよっ! 1位との差は、なんとわずか 0.02秒! 手に汗握る白熱の決勝レースをご覧あれ! このレース、1~3位までが大会新記録。 動画を最後まで見たらわかりま

【中距離走】800mで大会新記録を樹立した高校1年生が、レースで先頭を走る理由とは?~中距離ランナーりゅうきくんの話(その2)

( その1「800mを1分56秒で走る中学生が、たった3ヶ月で記録を6秒も更新した理由とは?」 のつづきです) なんと予選で大会新記録 2017年8月某日。 京都市西京極陸上競技場。 京都府高校ユース陸上競技大会。 男子1年800m予選のレース。 スタートラインに立つ彼には覚悟があった。 「思いっ切り走ってやろう」 彼の持つ自己ベスト記録は1分56秒91。 出場選手の中で群を抜いている。 予選を突破するのは明らかだった。 決勝に進むことを考えると、このレースは軽く「流して」体力を温存するのが得策なはずだ。 でも、彼はちがった。 「思いっ切り走ってやろう。そして、記録を狙ってやろう」 スタートから、ぶっとばした。 他の選手と接触するのもイヤだった。 第2コーナーを周り、オープンコースになった時には、すでに2位以下を10m程引き離していた。 スタンドで彼を応援する人たちは思った。 おいおい、まだ予選なのに、アイツなんであんなにとばしてるんだ? その差は開く一方だった。 トラックを1周した時は30m、2周目のバックストレートでは50mほど離した。 彼はどこまでいくんだ! 場内は騒然としてきた。 スマホで撮影していたお母さんの手は震えた。 彼は、前だけを向いてひたすら走りつづけた。 圧倒的な走りを見せつけてフィニッシュした。 2位との差はなんと70m程も開いていた。 ざわついた場内にアナウンスが流れる。 1位、○○くんの記録1分56秒10は、大会新記録です――。 「おおーー!」 驚きの歓声と称賛の拍手が湧きおこった。 つづく決勝でも、彼はぶっとばした。 記録1分57秒52。 もちろん、優勝した。 ***** なぜ順位ではなく記録を狙ったのか? 本日のお客様は、高校1年生の中距離選手りゅうきくんです。 ――りゅうきくん、こんにちは。 りゅうきくん: 「こんにちは(ニコニコ)」 ――まずは 京都府高校ユース男子1年800m で 優勝! おめでとうございます! いよっつ! ほんで 大会新記録 も樹立!おめでとうございます! 二連発いよっつ! りゅうきくん: 「ありがとうございます(ニコニコ)」 ――質問です。りゅうきく

【中距離走】800mを1分56秒で走る中学生は、なぜ、たった3カ月で記録を6秒も更新できたのか?~中距離ランナーりゅうきくんの話(その1)

中学3年の春、彼の能力は目覚めた。 彼は中学生になって陸上部に入った。 走ることが好きだ、という「自覚」はあまりなかった。 がんばろうという気持ちも、さほど強いわけではない。 本人にも、お父さんにもお母さんにも、わからなかった。 彼の能力は地中深くにあって、誰の目にも触れなかった。 そのまま、中学校の2年間が過ぎた。 中学3年の春。 時は突然にやってきた。 眠っていた彼の能力は目覚め、大地を蹴破り一気に発芽した。 そして、わずか3か月で、途方もない花を咲かせることになる。 話は、2016年5月1日の出来事からはじる。 ◆ 【2016年5月1日 京都市中学校総体】 彼は男子800m決勝のレースで、これまでにない走りっぷりを見せた。 他の選手たちを大きく引き離して独走し、ぶっちぎりで優勝。 記録は2分02秒40。 この快挙に、彼のチームは大騒ぎになった。 観戦していたお母さんは、驚きやら感動やらで涙が止まらなかった。 お父さんは、これは大変なことになったと思った。 全中(全日本中学校陸上競技選手権)の男子800m出場資格は2分01秒。もう少しがんばったら、息子は全中に出場できるんじゃないか? ならば、とお父さんは思う。 できるかぎりの応援をしてやろう。彼の足に合うシューズを買ってあげよう。 色々調べていると、ある店のブログを見つけた。 そこには、同じく800mで全中に出場を果たした、ある男の子のことが書かれていた。 よし、この店に息子を連れて行こう。 思い立つとすぐ、その店に電話を入れた。 お父さんが読んだ「R太郎くん伝説」↓ ◆ 800m2分切りと全中出場を目指して 【2016年5月12日 オリンピアサンワーズ】 ご両親に連れられて、彼はオリンピアサンワーズにやってきた。 長身で細身、優しい顔をしていた。 川見店主は彼に聞いた。 川見店主: 「800mで2分切りたいよね?全中に行きたいよね?」 彼は、一緒に来た小さな妹の遊び相手をしながら、はい、とこたえた。 川見店主は、その立ち姿を見て、彼のランニングフォームが想像できた。 川見店主: 「今の彼は、きっと下半身だけで走ってます。上半身も使って走れるようになれば、800mで2分を切れると思います」

【大学駅伝】長距離ランナーの彼はきっとみんなをハラハラさせる。~R太郎くん伝説(その2)

(つづき) 彼の最初で最後の全国インターハイは、準決勝進出で幕を下ろした。 その数日後、彼は店に来てくれた。 川見店主は、アクシデントに見舞われても屈することなく走りつづけた彼の健闘を讃えた。 彼は、川見店主が拍子抜けするほど淡々と、こうこたえた。 「ああいうことは中距離のレースではよくあることですからね。僕のミスです。」 彼の夏が終わった。 秋が訪れ、駅伝のシーズンを迎えた。 彼は駅伝でも全国大会を目指した。 川見店主は、高校最後の駅伝を走る彼にマラソンシューズをフィッティングした。 2016年10月。高校最後の駅伝を走るR太郎くんのマラソンシューズをフィッティング。装着したオーダーメイド・インソールは最上級インソールのゼロ・アムフィット。 ***** 2016全国高校駅伝大阪予選会 2016年11月3日。 全国高校駅伝大阪予選会。 淀川の河川敷を走るこのレースに優勝すれば、道は全国駅伝の舞台である京都の都大路へとつながっていく。 高校男子の駅伝は、42.195kmの距離を7名の選手が襷(たすき)をつなぎ走り抜く。 彼は、O高校第7区のアンカーとして出場した。 レースは終始、KH高校が先頭を引っ張った。 彼のO高校は第1区の時点で6位、1位KH高校との差は24秒。 その後もKH高校が1位をゆずらぬ鉄壁の走りを見せる。 O高校は徐々に順位を上げてKH高校を猛追。 アンカーの彼が襷を受け取った時、チームは2位につけていた。 1位KH高校との差は35秒。 チームは彼の走りに賭けた。祈った。 ゴールに一番はやく現れるのが彼の姿であってくれ! 彼は前を行くKH高校のアンカーT選手の背中を懸命に追った。 その激走は、区間1位のタイムを記録した。 しかし、T選手は辛くも逃げきった。 そのままKH高校が優勝した。 O高校は2位で涙を呑んだ。 その差28秒で、全国駅伝出場の夢は消えた。 彼の高校での陸上競技が、終わった。 ***** 2017年、彼は長距離走者に生まれ変わる。 彼は、今春から陸上競技の某強豪大学に迎えられた。 そして、800mの中距離選手としてではなく、長距離選手として新しい道を歩むことになった。 これからは、5000mや10000m

【中距離走】800mを1分52秒で走る男子高校生は25足のシューズで全国インターハイにたどりついた。~R太郎くん伝説(その1)

2016年7月31日。 午後3時45分。 岡山県シティライトスタジアム。 彼は、念願だった全国インターハイの舞台に立っていた。 男子800m準決勝のレースがはじまろうとしている。 彼の姿は第2レーンのスタートラインにある。 スタンドには彼を見守っている人たちがいる。 チームメイトと、彼のお父さんとお母さんと、そして川見店主と。 ピストルの号砲とともに、彼は勢いよくスタートを切った。 この後、レースが思いもよらない展開になるのを、まだ誰も知らない――。 ***** 2013全日本中学校陸上競技選手権大会 彼が初めてオリンピアサンワーズにやって来たのは、4年前の春だった。 中学3年生、専門種目は800mで、当時の自己ベスト記録は2分04秒だった。 彼の目標は、全中(全日本中学校陸上競技選手権大会)に出場することだった。 しかし、足に痛みを感じていて、思い切り走れなくなっていた。 それを心配したお母さんが色々と調べて当店を見つけてくれたのだった。 川見店主は、彼の800mの記録を聞くと、こう思った。 彼は今一番シンドイところにいるな。 800mで2分を切って走らせてあげたいな。 そこまでいけば、もっと楽に速く走れることを、彼は身体で感じるだろう。 「全中」は結果として、おのずとついてくるだろう。 彼には1足のスパイクシューズと2足のランニングシューズをフィッティングした。 すると、彼の足の痛みはどこかに消えた。 そして、急速にタイムが伸びていった。 2か月後、彼は800mの記録を2分01秒と自己ベストを3秒も更新し、念願の全中出場を決めた。 2013年春にフィッティングしたスパイクシューズの写真。これで彼は全中出場を決めた。 その時の話は旧のブログで 。 全中出場決定の話を聞いた川見店主は、800mでの「2分切り」にこだわった。 彼が店に来るたびに、川見店主は言いつづけた。 「全中の800mで2分切るよね?」 「毎晩、腹筋をやってるよね?」 「お母さんの言うこと、ちゃんと聞いてるよね?」 会う度になんやかんやと言われる彼は、川見店主のことを少々苦手に感じていた。 横でお母さんは「もっと言ってやってください」と笑っていた。 彼には川見店主が迫ってくるように見え

【陸上競技】晴れわたる空の下で走るキミたちを見ていた。~大阪インターハイ(2017)を観戦した話。

5/26~5/28の3日間、大阪インターハイ(第70回大阪高校陸上競技対校選手権大会)がヤンマーフィールド長居で開催されました。 で、最終日の5/28(日)は川見店主と観戦に行ってきました。 ***** 男子100m決勝の話 この日は天候に恵まれた。 空は晴れ渡り、時折に吹く風は優しい。 午前10時30分頃。 トラックでは、男女の100m予選と800m準決勝が終わり、ひきつづいて男子5000m競歩決勝のレースが行われていた。 川見店主はスタンドの客席に座り、トラックに熱い視線を注いでいた。 しかし、おもむろに立ち上がると、スタンド裏の通路に移動し、スマホに耳を傾け、何やら話しこみはじめた。 電話の相手は、この広い競技場のどこかにいるD高校のT先生だった。 T先生: 「3年生のI選手が男子100m予選を自己ベスト10秒77で通過しました。この調子でいけば、近畿大会に進出できそうです。」 川見店主: 「見てました!すごいですね!がんばってほしいですね!」 I選手は、前日にも、男子200m予選・準決勝・決勝と3つのレースを突破し、近畿大会進出を決めていた。T先生はI選手に男子100mでも近畿大会に進んでほしかった。しかし、I選手の疲労はピークに達していた。 川見店主: 「I選手は疲れてるでしょう?準決勝までに、しっかり筋肉をほぐしておいた方がいいと思いますよ。なにか私にできることないですか?」 T先生: 「ありがとうございます。でも、準決勝まで時間がありません。」 川見店主: 「I選手と合流できますか?いい人を紹介しますから。」 高校最後のシーズンを走るI選手に最高の結果を残してあげたい。T先生と川見店主の思いは同じだった。 川見店主はふたたびスマホに耳を傾け、やはりこの陸上競技場のどこかに来ているはずの「たぶっちゃん」に連絡を取る。「たぶっちゃん」は、現役時代には関東の某強豪大学で箱根駅伝出場を目指す長距離選手だった。今はボディケア用品・クリオ販売の社員として当店を担当してくれている。 川見店主: 「こういう選手がいるのよ。大事な準決勝だからね、なんとかしてあげられないかな。」 たぶっちゃん: 「わかりました。そちらに行きます。」 T先生、I選手、たぶっちゃん、そして川

【陸上競技】256の陸上競技の物語。

当ブログでシューズのフィッティング風景をご紹介するシリーズ「今日のアムフィット」。 その 「陸上競技」 編は、 旧ブログ(2005~2016年)では 256本 の記事を書きました。 どんな選手がご来店し、 どんなシューズをフィッティングし、 どれだけ記録を更新したのか? ケガや故障に悩まされた選手が、 いかにして復活を成し遂げたのか? 0.01秒に死力を尽くす 100m・200m・400m のスプリンター。 トラックの格闘技と呼ばれる苛酷な 800m・1500m の中距離ランナー。 身体と心肺の限界へと挑む 5,000m・10,000m・3,000m障害 の長距離ランナー。 チームの期待を背中に代表の戦士4人がトラックに挑む 4×100m ・ 4×400mリレー 。 汗と涙と友情を一本の襷(たすき)につなぐ 駅伝 。 己を重力から解き放ち軽やかに浮遊する 走幅跳・三段跳・走高跳・棒高跳 の跳躍選手。 放物線を地平の彼方へ届ける やり投・砲丸投・円盤投・ハンマー投 の投擲選手。 人間の「歩く」行為を最も効率化させ足音もなく滑らかに地表を移動する 競歩選手 。 数々の選手たちとオリンピアサンワーズが織りなした、256の「名もなき物語」は、今もこちらで読めます↓ http://sunwards.asablo.jp/blog/cat/amfittandf/ この新しいブログでも、己の限界に戦い挑む陸上競技選手の活躍をご紹介します。 On Your Mark ! 2017年04月